Hornpipe, Barndance, Reelの弾き分け方

Hornpipe, Barndance, Reelの弾き分け方

アイルランド音楽

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2024年10月6日

前置き

今年 8 月にアイルランドに行ってから早 2 ヶ月が経ちました。 現地で得た学びや思い出を忘れないためにこれから少しずつ書いていきます。 今回はその第一弾です。

僕は Feakle Fes.にて Mary MacNamara の Workshop に参加したのですが、その中でも特に驚きがあったのが表題にあることでした。

勘違いしていた捉え方

当初、僕は「え、これ Hornpipe じゃないの?」とか「Barndance ってどう弾いたらいいんだろう?」とか「Reel にスイングをつけたら Hornpipe っぽくなっちゃったぞ」のように悩むことがありました。 僕の周囲も自信を持って Barndance はこう弾けばいい!と言える人は少ない印象です。

そんな僕のそれぞれのリズムに対する捉え方は以下のような感じでした。 僕の場合はこうだった、というものですが案外当てはまる方も多いのではないでしょうか?

テンポ弾き方拍子
Hornpipeゆったり?タッカタッカと跳ねるように?2/2?
Barndanceゆったり?滑らかに?2/2?
Reel速め?滑らかに?2/2

「Reel をゆったりすると Barndance になり、Barndance が跳ねると Hornpipe になる」といった感じでしょうか。 しかしこれは結果的にそうなるときもある程度のお話で、そもそもそれぞれのリズムに対する認識の仕方として根本的に間違っている、と Mary さんの話を聞いたときに感じました。 リズムの認知の切り分けができていなかったのもこれが大きな要因でした。

特に Hornpipe について、Mary さんは「私は跳ねるように弾くのは好きじゃないし、そんな風に弾かない」と言っていました。

今の捉え方

では、それぞれのリズムをどう捉えていけばよいのでしょうか? まずは結論を表にしてまとめてみました。

Lift拍子
Hornpipe強め4/4
Barndance強め2/2
Reel弱め2/2

「Reel よりも Lift を強調すると Barndance になり、強調した Lift を意識したまま拍子を 4/4 拍子にすると Hornpipe になる」といった感じです。 案外シンプルといえばシンプルで「それでいいの!?」と感じる人もいるかも知れませんね。

Lift とは

ここでいう Lift とは、拍子を認知するための要素として捉えています。 1 小節の中に 2 つの Lift を感じたら 2 拍子、4 つの Lift を感じたら 4 拍子…といった具合です。

じゃあ、拍子を認知する要素とは?となるわけですが、Swing や音の強弱、Stress といった概念があると思います。 大事な点として、Lift を構成するためには、そういった個別の要素 1 つ 1 つに注意を向けるというよりむしろそれらを複合的に絡み合わせて一つのまとまった音の山を作る意識が必要だと感じました。

Hornpipe を例に挙げると、「気持ちゆったり弾こう」とか「Swing をつけて跳ねるように弾こう」とか個別に意識するのは間違いで、単に「強めの Lift を 1 小節に 4 つ設けよう」と心がければそれは自然と Hornpipe になる、そんな感じです。

注意点

上に紹介した表は基本的にはこうだろうという程度のもので、実際は旋律の並びやアレンジによって Hornpipe でも Lift が弱く聞こえる部分もあれば、Reel でも 4 拍子に聞こえる部分もあるものだと思っています。

まだまだ僕も解像度が荒い部分があり、煮えきらないような書き方に見えるかもしれませんが、ひとまずそんな見解になりました。 実際 Mary さんの音源を改めて聴いてみるとそんなに外したことは書いてないと思います。

皆さんの意見も気になるところです。 最近 disqus というコメントサービスを導入してみたので、意見や感想をお待ちしております!!!

具体例

最後に上記の見解を踏まえた上で、具体例となる演奏を紹介しておきます。 なるほど!となるでしょうか…?

Hornpipe

必要以上にタッカタッカと Swing をつける必要はない点、4 拍子である点に注目して聴いてみてください。

The Golden Eagle
performed by Mary MacNamara
The Harvest Home/Rossinver Braes
performed by Ben Lennon and Tony O’Connell

Barndance

同じ人の Reel と比較すると弾力のある演奏なのがわかると思います。

Spailpín Fánach / The Little Beggarman
performed by Mary MacNamara
Lord Leitrim/The Earl of Thomond
performed by Ben Lennon and Tony O’Connell

Reel

Mary MacNamara は他の奏者と比較すると Lift は強めなのが特徴ではあるものの、Hornpipe や Barndance と比べるとサラサラと弾いているように聴こえると思います。

The Humours Of Castlefin, The Glen Of Aherlow / The Killarney Boys Of Pleasure
performed by Mary MacNamara
Round the House and Mind the Dresser, John Watt Henry's, Rose in the Garden
performed by Hugh Healy
最終更新日